花屋

いそいそと仏花を買い求める人。今、花屋でバイトしてます、毎日毎日仏花を組みます。昔、僕は寺に住んでいました。境内の桜の木では蝉が鳴きしきり八月の墓場は仏花の腐った匂いが漂っていました。その仏花の構成はてんで覚えてない、記憶にあるのは緑やら白の薄らボンヤリした二等辺三角の輪郭とその腐った匂いだけ。近くには仏花だけを商う花屋が何軒かあって、そこからも腐った匂いが流れ出ていた。リンドウは入っていただろうか、女郎花(おみなえし)は入ってなかったはず、なんか杉か羊歯かが混じっててそいつが臭かった気がする。仏花を束ねている時、夕立と共に吹いた風が腐った匂いを運んで来て、寺の暮らしを思い出し、切なくなった。