日記

北村先生のダンスを初めて見たのは、だいたい十年くらい前だったたと思う。北村先生が主催していたレニ・バッソの松本公演、演目は「ゴーストリーラウンド」。先生がふらふらっと、暗い舞台の中に現れた円形の光に筒の中で動き出した。なんというかうまく言葉にできなくて残念だけれど。あの動きを見てしまったことは、古い傷のようになっている。こないだ久しぶりに先生のダンスをみたけれど、昔と変わらない様子だった。ステージでゴーストと対話する綺麗な女性であり、孤独をまとう冷めた武闘家のようで、ことが済んだら背を向けて袖に消えていく。